(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
伏見康生のコラム
「NO.70: 「日本在来牛 〜 其の三 〜 」」

コラム一覧に戻る

2009年12月16日

 もう一つの純粋な在来牛が口之島野生化牛です。
 鹿児島県鹿児島郡十島村口之島の亜熱帯林に、野生化した口之島牛が生息しています。
 在来家畜調査団(名古屋大、東京農大、鹿児島大)が昭和36年に口之島の住民から聞いた話では、大正7年か8年に同じトカラ列島に属する諏訪瀬島から導入した数頭の牛を、島の中央部の前岳(628.3m)付近で放牧飼育していたが、居住地区から離れていたため管理が不十分となり、捕らえられないほど敏捷になり次第に奥地へ逃げ込み、ついには島の南部の燃岳(425m)を中心とする原生林内で自然繁殖するにいたった(驚!!)とされています。大正10年前後のトカラ列島の牛は未改良牛のみであったため、口之島牛は西洋牛の影響を受けていない日本在来牛というわけです。
 口之島野生化牛は、野生化した後も改良種との交雑が行われておらず種的隔離野状態で現在も島内に生息しています。正確な調査は困難で、行われていませんが、約100頭ほどの頭数がいるようです。毛色パターンは、種々雑多で黒色が主ですが白斑、褐色のものもいます。体格は見島牛同様に非常に小柄です・・・というのが書籍上の一般的な見解ですが、実際に見るとけっこうデカイです!けして小柄の分類には入りませんね(笑)!
 強烈なエピソードをもつ口之島牛・・・見島牛同様に見たくなってきましたね!!そんな皆さんに朗報です!!鹿児島大学付属入来牧場では種の保存のために、現在20頭ほどの口之島牛を放牧飼育しています。次の休日は是非、鹿児島大学付属入来牧場に!
|