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松本大策のコラム
暑いけどマスクを付けよう!

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2018年8月3日

 いやあ、本当に暑い日が続きますね。豪雨被害などで被災された方の、その後の生活はいかほど苦しいだろうかと思います。募金やボランティアの大切さは、今更口にすることでもありませんが、国民が支払っている税金をムダに使ってないで(本会議で居眠りしている議員さんは、国会開催1時間に1億円も経費がかかっていることを解っているのでしょうかね?国会のエアコンを中止すれば、ちっとは苦しんでいる人の気持ちが分かるんじゃないでしょうかね。)、もっと積極的に国も動くべきだと思います。

 さて、今回は、暑さもきわまったこの頃ですが、農場にいる間は「マスクを付けよう!」というお話しです。「はあーっ?このくそ暑いのにマスクなんか付けてたら死んじまうだろ!」なんて声が聞こえてきそうですが、きちんと休憩と塩分、水分の補給をするようにしておけば、熱中症だって防ぐことが出来ます。
実際僕は、ほぼ毎日N95規格のマスクを2枚重ねで付けた上に防護服とオペ用の丈夫なゴム手袋という出で立ちで巡回していますからね。

 マスクを付けて欲しいという思いには2つの意味があります。まず一つ目は、自分自身の身体を護る、ということです。先日、僕の友人の父親が「農夫肺炎(Farmer’s pneumonia)」という病気にかかっていることが解りました。
 この病気は、農場の牧草などのホコリやカビを毎日吸引することで、少しずつアレルギーが蓄積されて、ある一定のレベルに達すると発症する、というものです。この「一定のレベルに達すると」というのがくせ者で、それまで自覚症状も咳などの外から見て解る症状も出ないのですが、一端症状が出るととても激しく、場合によっては短期間で死にいたる場合もあるのです。実は僕の周りでこの病気が出たのは2人目で、はじめにこの病気だとおっしゃった方は、数ヶ月で平衡感覚もなくなり寝たきりなのに目が回ると言いながら死んでしまいました。この病気は、発症までに20年くらいかかる場合もあります。それでも、発症前に1日前にでも防ぐことが出来れば、なにも問題ないのです。
 ですから、みなさんには今すぐにでもマスクを装着して欲しいのです。

 もう一つの意味は、「牧場に病気を持ち込まない・持ち出さない」と言うことです。口蹄疫ウイルスは、ヒトでは発症しませんが、のどに感染してその人が媒介者(キャリア)となってしまいます。万が一、どこかで口蹄疫ウイルスに感染していたら、そのまま農場に入ると口蹄疫を農場に広めることになるのです。

 他にも衛生意識を高めるためにも、マスクは必ず装着しましょう。そして重要なことは「話をするときも、決してマスクをずらさない!」ということです。もちろん休憩で飲み物などを取る際は、農場から出てマスクを外します。
 慣れないと、ついマスクをずらして話をしたり(写真1)、ちょっと苦しく寝るとマスクを外したりしがちです。それを防ぐためには、慣れるまでマスクの上をテープで留めておき(写真2)、無意識にマスクをずらそうとするとテープが引っ張られるようにしておきます。そうするとそこで意識が働いて「あ、マスクをずらしてはいけないんだった」と行動が補正されます。


写真1

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写真2

 宮崎口蹄疫のワクチン接種の現場で、農水の偉い人がマスクをおでこにかけたまま注射している写真がフライデーかフラッシュだったかに載りましたが、農場に入る人、特に技術者は、この写真を笑うことなく、自分の責任ある行動につなげましょう。

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