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戸田克樹のコラム
第185話「子牛の下痢が悩ましい!⑫~はじめては大切~」

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2018年5月16日

さて、生まれてはじめて子牛が口にするミルクには「初乳」という別名がついています。
個人的には「それだけ重要なんだぞ!」というメッセージが込められているからわざわざ初乳というのでないかと勝手に思っています。

そもそも初乳って何でしょうか。なぜ特別な存在なのでしょうか。

初乳と通常のミルクとの大きな違いは「免疫抗体の有無」ですよね。
人間のように胎盤を通して子供に免疫抗体がうつっていくのとは異なり、牛さんの場合は母体の免疫抗体は胎盤を通過できません。代わりに初乳にたくさんの抗体を含ませることで子牛に抗体を移すスタイルをとっています。

抗体には病原体にくっついて白血球に「ここだよ!敵はここだよ!」と知らせたり、病原体の動き、増殖力、病原性などを弱めたりする作用があります。弱った病原体は子牛自身の免疫細胞によって退治され、体の外に排出されます。

しかし、抗体がないと、免疫系統は未熟です。外部から侵入してきた病原体に対して免疫細胞はうまく対応できません。病原体の増殖スピードについていけず、病気になり生命の危機へとつながっていくかもしれません。

初乳を飲んでいるか、飲んでいないかはたったそれだけの違いですが、その後の子牛の人生(牛生?)を大きく左右する違いへと変わっていくのです。
※なお、初乳をのませるべき時期については松本コラム(2018年4月13日)に記載がありますので、そちらも併せてご覧ください。

初乳に含まれる抗体にはどんなものがあるのでしょうか。

つづく
 
 
 
 
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