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松本大策のコラム
質問箱から(その10)~冬場の水周りと赤目と乳量低下について~

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2017年12月29日

◎ご質問・ご相談コーナーへご投稿をいただいた質問と回答の内容をご紹介いたします。

ご相談内容

 初めまして。酪農をしています。
 早速ですが、2~3日前強い寒気が入り、うちの牛舎でも-5℃まで下がりました。ウォーターカップなど水まわりは凍ってしまいその日の朝から乳量がガクンと落ちてしまいました。今日は暖かくなり、乳量も少しは戻るかと思っていましたが、さらに下降してしまいました。活気がなく、乳量が下がり続けている牛が多く見受けられ、さらに目が赤くなっている牛がたくさんいます。目の充血と乳量の減少は何か関係があるのでしょうか?

回答

 凍結は大変でしたね。僕は肥育がメインですが、水を半日飲めないと2週間ほど食欲が低下します。

 第一胃内でも発酵の異常が起こり、エンドトキシンなどの毒素が増加しているのではないでしょうか。目の充血も(おそらく鼻鏡も赤くなっているのではないかと思ったのですが)、ルーメンアシドーシス(第一胃の酸性化)の際によく見かけます。異常発酵ではルーメンアシドーシスが起こる可能性も高くなります。

 充血のひどい子には酢酸リンゲルとブドウ糖、重曹注を補液してあげて、出荷規制がついてもかまわない牛さんには抗ヒスタミン剤(ラドンやネオアスなど)を追加してあげること、飼料にトルラミンやアースジェネターのような発酵安定に寄与する生物資材とソフトシリカかゼオライトなどのエンドトキシン吸着剤を入れてあげること、をお勧めします。
食欲の戻りの悪い子は、エンドトキシンの影響で肝臓まで障害を受けているおそれもあるため、念のため血液検査した方がよいと思います。

 あと、水の凍る危険がある地域では、できれば凍結防止装置を付けた方がいいです。ウナギの養殖で使う温水器や左官さんが使う加温器で37℃くらいの温かい水を飲ませる方もいらっしゃいます。乳量維持に効果的です。

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