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蓮沼浩のコラム
第497話:世界の中の日本

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2017年11月30日

 一日の寒暖差が大きくなってきています。特に最低気温が5℃を下回る時は、寒さ対策をしっかりと取りたいですね。あと、牛さんだけでなく人さまも健康管理には気を付けたい季節になってきましたね。

 先日地元の獣医師会の臨時総会がありました。そこでは食肉検査場と、家畜保健所の2名の先生方が「食肉輸出認定制度と牛肉等の輸出状況について」「家畜衛生情報」との演題で講義をしてくださいました。昨年は笹崎先生と久林先生と小生の3人でダンス踊っていたので、ずいぶんな違いです・・・。

 日本の人口は2040年には1億700万人(高齢化率36.1%)、2050年には9700万人(高齢化率38.8%)という予測がでています。生産年齢人口の減少はこれからも続きます。そのために、どうしても国内市場は縮小していく傾向が今後も続いていく可能性が高いことから、国は成長戦略の中で輸出促進を大きなテーマとして取り上げています。現在は日本再興戦略 ―Japan is Back ― の中で2020年に農林水産物・食品の輸出総額1兆円(2012年実績4500億円)を目指しています。
 その中で農林水産業の輸出強化戦略(平成28年5月19日)として以下のものをあげています。

 ・海外の小売業者等から要求される国際的な認証取得の推進
 ・日本発の国際的に適用する民間規格・認証の仕組みの構築
 ・HACCP制度化への検討

 なかなか現場ではこのようなことを考えて仕事をしていくことは大変です。そしてすぐにはどれもできないことが多いです。しかし、これから10年、20年先をみていくと、このようなことが当たり前の世界になっているかもしれません。できるところから何か一歩踏み出してみてもいいかもしれません。現在も鹿児島県では牛肉輸出は毎年増え続けています。平成28年は800トンを超えています。平成23年は200トンちょっとです。この5年で4倍に増えています。今後ますます増えてくるのではないでしょうか。2040年の日本の畜産業の姿はどうなっているのか色々と考えてしまいました。

 家畜衛生情報では、世界地図等を見ながら口蹄疫、鳥インフルエンザの発生状況を説明していただきました。地図をみていると本当にいつ海外悪性伝染病がはいってきてもおかしくない状況に日本はあるとあらためて思います。特に今回興味をもったのが、アフリカ豚コレラ。アフリカから東ヨーロッパに拡大し、現在はロシアを東に進んでいるように見えます。アフリカなどというと日本と全然関係ないように思いますが、東アジアにヒタヒタト近づいているような印象をうけました。ただ、イスラム圏では豚肉を食べないので、地図では空白。当たり前ですが、宗教や文化で病気の発生がないということは非常に面白いですね。

 今回の講義を聞いて、改めて日本という国は単独で存在しているのではなく、世界と繋がっているのだな~~と思いました。さてさて、2040年、日本はどうなっているのでしょう?

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