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戸田克樹のコラム
第152話「ペニシリンアレルギーの恐怖~ヒスタミンの恐怖③~」

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2017年9月13日

鹿児島の夏が終わりました!
昼間は暑いくせに、朝晩は冷えます。寒いです!これからは乾燥や寒冷ストレスが影響し牛舎内でせき込む子牛がわんさか出てくることでしょう。被害を最小限に抑えるために、早めの寒冷対策をよろしくお願いします。
 
 
気管周囲に分布している気管支平滑筋が収縮した場合、体の中ではどのような変化が起こるでしょうか。
肺にある無数の気管支の直径が、ヒスタミンの作用によって次々にせまくなっていきます。
こうなると非常に息苦しくなります。ときには喘息のような「ヒューヒュー」という呼吸音が聞こえることもあります。

アレルギーを起こした場合、呼吸がしにくいので、がんばって息をしようとします。そこでエネルギーのロスが起こってしまいます。しんどいので、食欲も落ちるでしょう。さらに、負荷がかかるので気管組織にダメージが加わり、ウイルスや細菌の定着も起こりやすくなってしまいます。そこから肺炎へ移行してしまう可能性もゼロではありません。

目が腫れているほどの反応が出ている牛さんの体内では、見た目のインパクトだけでなく、特に肺と腸管内でこれまでに書いてきたような変化が起きています。逆に、外見の変化がそこまでなかったとしても体内では大きな変化が起きているかもしれません。
「呼吸はしづらそうにしていないか。呼吸音はおちついているか」
「便はゆるくなっていないか」
こうしたところに着目するのも非常に大切になってきます。

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