(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第87話「はくせんって何②~まず敵を知る必要が、ありまぁす!~」

コラム一覧に戻る

2016年5月25日

~とある朝~
チュンチュン…チュンチュン…

「あ~もう朝かぁ。小鳥のさえずりで目が覚めるとか優雅すぎるぅ~。爽やか~。」
-5分後-
チュンチュン…チュンチュン…
「あ~まださえずってるぅ~。友達どおし会話でもしてるのかなぁ~」
-5分後-
チュンチュン…チュンチュン…
「またかぁ。鳴き方がおんなじだなぁ。リズムとか鳴き声の強さとか。そんなもんなのかなぁ~。」
-5分後-
チュンチュン…チュンチュン…
「いや。さすがになんか変だぞ。」

携帯のアラームやん!!!!
音のする方に足を進めた戸田の目の前には、設定した「鳥のさえずり」アラーム音を一生懸命にならしているスマホちゃんがポツリ。最初から鳥なんてさえずっていなかったのです。
チャンチャン♪(笑)
 
 
さて、戸田を苦しめている皮膚糸状菌症のお話のつづきです。
原因菌であるTrichophyton verrucosum(トリコフィトン・ベルコーザム)とは、いったいどんな敵なのでしょう。

普段は「分生子」という状態で存在しているトリコさん(stage 1)。
この状態であれば水でも簡単に流れてしまうので、まったく害はありません。
(この時期を逃すとたいへんなことになります)
体表面に付着したままある程度時間が経つと、「ここで増えたろかな」ということで発芽します(stage 2)。

ここからが大変!!!!
皮膚糸状菌は皮膚表面の角質にある「ケラチン」という物質が大好物。このケラチンを摂取するために、角質層の深いところまで菌体を侵入させていきます。うにょ~ん、と菌体を伸ばしながら角質の隙間に入り込んでいくのです。
菌糸体になったらもうおしまいです(stage 3)。角質深く、まさに根をはるように侵入した真菌はいくら洗ってもおちません。

…そして、発症します!
かゆ~~~~い(*´з`)

つづく

|