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蓮沼浩のコラム
第439話:魔法の弾丸 その8

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2016年5月19日

 昨晩は地元獣医師会の定期総会でした。牛さんの獣医さんだけでなく、養鶏、養豚、コンパニオンアニマル、食肉検査場、保健所など、いろいろな場所で活躍されている先生方とお話ができるので、非常に勉強になります。

 抗菌薬は本当に本当にありがたいもので、日々の診療で毎日お世話になっています。しかし、先人たちがそれこそ失敗に次ぐ失敗を連発し、努力を続けながら作り上げてきたこの抗菌薬のありがたみを小生は忘れてはいないだろうか?そんな気持ちから、自戒の念をこめてこの連載を書いてみました。

 小生は牛さんの栄養状態、畜舎の衛生環境、適切なワクチネーション、病原菌の検査等をしっかりとすれば、かなりの病気は防ぐことができると考えています。最近は牛さんの免疫や抗病性などという点にも興味があります。これらの点を見据えて牧場が改善していかなければ、どんなに高価で貴重な薬も現場では何にもならないと感じています。私たちは、たくさんある抗菌薬を何も考えずに「効かない、効かない」と連呼してありがたみもなにも感じずに使ってはいないだろうか?その前にやることはあるのではないだろうか?どうしたら病気の発生を減らし、最少の治療で治すことができるか?そもそも、病気が出ないようにするにはどうすればよいのか?はたして今の治療は本当にベストなのか?考えることは尽きません。これからもずっと考え続けるのでしょう。でも、その時にエールリッヒ先生をはじめ、秦博士、ドーマク博士、フレミング博士、フローリー博士、チェイン博士などの事をふと思い浮かべると少し頑張れそうな気がします。

 今回のお話は「微生物の狩人(下):ポール・ド・クライフ」「サルバルサン戦記:岩田健太郎」を参考にして書いています。とっても面白いので興味のある方は是非読んでみてくださいね!

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