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松本大策のコラム
震災お見舞い申し上げます

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2016年4月18日

 まさかの熊本・大分で大地震が発生しましたね。被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、これ以上の被害が広がらないようにお祈りいたします。

 僕にできることと言うと、牛さんのアフターケアのお話しぐらいですが、少しこれまでの経験からお話ししてみます。

 まず母牛の流産が心配な方がいらっしゃると思いますが、以外に母牛はタフです。でも心配なようでしたら、黄体強化などで流産を防ぐ方法もあります。
 ただ、薬剤なども限られるし、コストもかかりますので全頭処置が難しいこともありますので、優先順位をつけてみましょう。

 まず一番気をつけた方が良いのは受精後(もちろん妊娠確認した牛さんですよ)4ヶ月齢前後の牛さんです。胎齢4ヶ月齢程度で黄体からのプロゲステロン(妊娠を持続させるホルモン)が胎盤生のプロゲステロンに切り替わると言われています(僕は見たわけじゃありませんがw)。ですから、この切り替わり時期というのはストレスによる流産が多いのです。そこで、まずこの時期を中心に処置をしてあげます。

 処置としては持続性のプロゲステロン製剤(ルテオーゲンLなど)やGn-RH(コンセラールなど)で微小卵胞を黄体化させる、などの処置からでしょう。

 それからストレスに抵抗性を与えるためにゼノアックのモラフィット(モラリックスじゃないですよ。精神安定効果のあるGABAという物質の入った鉱塩です。)やビタミンE、βカロテンを給与する、GABAを分泌する乳酸菌を含んだアースジェネターやビオスリーなどの給与量を増やす、などでしょうか。

 しかし、それ以上に心配なのが、子牛の発育不良です。以前、薩摩大地震の時にも、子牛の発育不良がみられ、印象として頭でっかちの子牛が増えました。頭は脳みその入れ物なので、頭だけが正常に大きくなるようです。
 こういう子牛に効果的なのは、以前お話しした「肺炎後処置」です。あの方法は、肺炎に限らず、牛さんの代謝が低下したときに、元に戻す働き、特にタンパク質を取り込む力(タンパク同化能)を向上させてくれます。

 他にも個別の問題が発生する可能性もありますから、何かあったら ご連絡 いただければ一生懸命対応させていただきます。

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