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池田哲平のコラム
牛の解剖113:雄性生殖器(6)

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2013年5月17日

(4)精管
 精巣上体管を抜けた後は精管へと繋がります。精管は、大きく曲がるような構造をとる事はほとんどなく、比較的まっすぐきれいに伸びていきます。お腹の下側にある精巣と精巣上体のところから背中に向かって伸びていき、膀胱に近いところまで来ると、お尻の方向に曲がっていきます。

 この時、精巣上体から伸びていく精管の部分を精索(せいさく)と呼ぶのですが、臨床上、非常に重要な部分になります。

 “索”とは、縄とか綱とかロープという意味があるのですが、精索とはつまり、“精巣・精巣上体から続くロープ状の構造物”ということになります。一本の管の事だけを言うのではなく、いくつかの管状・ひも状になっているものが集まったもの、ということですね。精索の中に含まれる組織としては、精管以外に、精巣動脈と精巣静脈、それと精巣挙筋とよばれる筋肉が含まれます。精管を含めて、これらの組織は一つの塊である精索として、お腹の下側から背中の方に向かって伸びていきます。

 では、精索が臨床上重要になるのはなぜなのか?それは去勢の時に非常にポイントとなる場所だからです。メスで陰嚢切開して精巣を取ってしまう観血去勢でも、バルザック去勢やリング去勢などの非観血去勢でも、この精索の部分の処理をうまくできるかどうかが去勢の成否に関わります。

 次回は精索の話に絡めながら、去勢の話を少ししてみたいと思います。

牛の解剖113:雄性生殖器(6)

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