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松本大策のコラム
「マイコプラズマで気になっていること(その2)」

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2011年4月4日


〜 マイコプラズマって何だ? 〜

 みなさんマイコプラズマはよく耳にする病原体だと思いますが、実際どういったものなのか理解している方は少ないと思います。

 まず、細菌に含めるかどうかも議論が分かれるところで、どうしてかというと細菌が生きるための代謝系をいくつか欠いている、ということと、細菌の細胞は植物細胞と同じく「細胞壁」というものを持っていますが、マイコプラズマは動物細胞と同じように「細胞膜だけで細胞壁がない」という点です。あ、もちろん植物細胞には、細胞壁だけでなく細胞膜もありますよ。

 マイコプラズマには効果のある抗生物質が限られていますが、たとえばペニシリンなどは「細胞壁」を壊す抗生物質ですから、最初から細胞壁のないマイコプラズマには効果がないのです。

 さらに、普通の細菌は直径が1μm(1ミリの1000分の1)ですが、マイコプラズマは0.3μmと、細菌の1/3くらいの大きさしかありません。大きさも小さく、また固い壁がないグニャグヤニャしたいきものですから、普通のバイ菌やバイ菌を身体の中で食べてやっつけてくれる白血球が入り込めない狭い隙間にも入りこんでしまうことができます。

 それから普通のバイ菌は1000匹から10億匹いないと感染できないのですが、マイコプラズマは、たったの70匹で感染が成立するといわれています。

 これらの特徴から、他のバイ菌以上にやっかいな病原体といわれているのです。

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