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松本大策のコラム
「ビタミンAと亜鉛のお話し」

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2009年8月10日

 みなさん、牛さんを飼っていると、ビタミンAのことはよく耳にされると思います。今回はこのビタミンAについてのお話しです。ちょっとしたことでも、知っているのと知らないのとでは、使い方などに大きな差が出ますからね。
 ビタミンAの働きというと、人間では視力を保つ働き(ロドプシンという光を受ける色素の材料)が有名ですが、この他にも身体が錆び付くのを防ぐ(生体内抗酸化)働きや、血管を強くする働き(血管の防水シートの役割をするムチンの産成)、免疫を維持・強化する働き、体の表面を護る働き、など多くの働きをしてくれます。
 そしてこれらの働きは、亜鉛というミネラルと一緒になって働く事が多いのです。まずはこのあたりからお話ししましょう。
 ビタミンAは、注射で与えても、経口で飲ませても、飼料に添加しても、すべて一旦、肝臓の星細胞(僕らは伊藤細胞と習いました。歳とったなぁ。)という所に運ばれ貯蔵されます。そして必要なときに、星細胞から運び出して使われるのですが、このとき、RBP(ビタミンA結合タンパク)という肝臓で作られるタンパク質と結合しないと全身へ運ばれないのです。じつは、RBPは、亜鉛が十分にないと作ることが出来ません。つまり、ビタミンAを輸送するにも亜鉛は重要な働きをするのです。
 実際、ドン八ヶ岳みたいな亜鉛製剤を併用した場合としなかった場合では、ビタミンAを投与してからの血中濃度の上がり方が違い、この点だけでも亜鉛を併用した方がビタミンAは有効に働く事が解ると思います。
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