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池田哲平のコラム
「牛の解剖65: 十二指腸 ~腸管のはじまり~」

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2010年12月10日

 長い腸管のスタートは十二指腸からです。
 十二指腸は、第四胃の出口(幽門部)からつながっていて、骨盤近くまで後ろに伸びてからターンして戻ってきて、空腸へと繋がります。第四胃を出てすぐに、S字状に曲がっているのが特徴です(前回の図を参照)。
 十二指腸では、第四胃から送られてきた消化物をより細かく分解・消化し、さらには吸収するのがメインの働きです。蛋白質や脂質、そして一部の炭水化物を消化します。それぞれの栄養素を酵素の力を使って消化するのですが、ここで一つ注意しておかなければいけないのは、十二指腸自体からは消化酵素は(ほぼ)分泌されない、ということです。十二指腸には肝臓と膵臓からそれぞれ胆汁と膵液が送られてくる管がつながっているのですが、消化の役割を担う酵素が含まれているのは、この胆汁と膵液なのです。十二指腸自身から分泌されるものとしては、腸粘膜自体を保護する粘液、腸での消化・吸収を調節する消化管ホルモンなどがメインであり、一部、ペプチド(蛋白質が分解されて細かくなったもの)を分解する酵素があります。
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