2019年12月11日 「数日前からエサ食べないのよね~。血液検査してもらえない?」 という電話を受け、牧場へ到着。 保定しようと部屋に入ると軽快な逃げっぷり。 そしていざ捕まえて柵につなごうとすると、ありえないくらいの力で抵抗します。さらには鼻息も荒く、前足で土を蹴り威嚇する様子も確認されました。体温を計ろうとしてもお尻を激しく左右に振り、なかなかうまくいきません。 経産牛の場合、直腸検査は初診から必須で行うように普段から意識しています。「触れるところは漏れなく触る」が大動物診療の基本です。なかなかのお尻の振りっぷりに苦戦しながら手をいれると… まさかの全周囲を囲む巨大な脂肪壊死塊を発見しました! 直腸検査をしていなければ、どうだったでしょう。血液検査で異常がなかった場合は食欲が出るような処置を続けて医療費を無駄にしていたかもしれません。それどころか、牧場内で牛を死なせてしまっていたかもしれません。改めて直腸検査の大切さを痛感した症例でした。直検って本当に大切です。 前の記事 第263話「遊んでるわけじゃないんですよ~」 | 次の記事 第265話「菌と牛―その①―」 |