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原田みずきのコラム
体温調節の話

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2019年11月8日

11月に入り、鹿児島も朝晩は10℃前後まで冷え込むようになりました。家では羽毛布団とこたつを出してぬくぬくしています。天気予報を調べてみたら、出水の高原地帯では早くも来週末に氷点下になる予報でした。もうすぐ冬ですね。

さて、今回のコラムは前々回の続きで体温調節と発熱の話です。前々回では牛さんの平熱と、体温調節は脳の視床下部にある体温調節中枢という部位が行っているお話をしました。今回は体温調節中枢がどのようにして体温を一定に維持しているかをご説明いたします。

視床下部とは?
視床下部は間脳に位置し、自律神経(内臓、血管、ホルモンなどの働きをコントロールし、体内の環境を整える神経)の働きを統率する場所です。視床下部では体温調節の他に、飲水行動や摂食行動、性行動などの司令を体に送る働きをしています。たとえば視床下部内にある渇中枢が刺激されると喉の乾きを感じ、満腹中枢が刺激されると満腹感を覚えるようになります。
 
体温調節中枢について
では、視床下部の体温調節中枢ではどのようにして体温を維持しているのでしょうか。前々回のコラムでご説明したとおり、人や牛などの恒温動物は熱放散と熱産生を繰り返すことにより平熱を維持します。平熱の維持方法について、寒冷時を例に説明していきます。
まず、皮膚が寒冷刺激を受けると皮下に存在する冷受容器が反応し、脊髄を伝って体温調節中枢まで信号を送ります。体温調節中枢は冷受容器からの信号を受け取ると熱産生を指示する信号を送ります。これが再び脊髄を伝って全身の筋肉や血管に届き、筋肉は収縮して熱を産生し、血管は収縮して熱の放散を抑制します。

このようにして体温調節中枢は平熱を維持しています。図が汚いのは大目に見てください。次回は発熱が起こる機序についてご説明いたします。

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