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松本大策のコラム
群編成ストレスってよく聞くと思うけど「群乖離ストレス」って知ってる?

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2019年10月21日

 皆さん、先日はすごい台風でしたが、被害はありませんでしたか?台風の後は、消化管細菌叢の乱れから第一胃内毒素(エンドトキシンなど)が発生して、足のむくみが出たり、趾間の発赤が出たりします。これを放っておくと、ズルなどの発生が増えてしまいます。もちろんビタミンA欠乏にしたままなんてのはもってのほかですが、それ以外にもアースジェネターやビオスリーなどの良質の生菌剤を与える、ソフトシリカやゼオライトなどの毒素吸着剤を与える、酵母製剤を与える、などの処置はとってあげましょう。

 牛さんのことも大切ですが、台風後の被害では、鹿児島などではスレートの張り替えでスレートを踏み破って転落死する方もいらっしゃいます。どうか、みなさんも人ごとではなく、ご自分を大切に護って下さいね。
 
 
 さて今回は、いつもお話ししている「群れ」のストレスについてのお話しです。でも、口が酸っぱくなるほどお話ししている「群編成ストレス」のお話しではありません。初めての方のために簡単に群編成ストレスを説明すると、群れにされたストレス(人間関係みたいなもんですね)で、牛さんは免疫が低下して、3週間は病気に弱くなる、というものです。和牛ではこちらも強調します。

 一口に「牛さん」といってもさまざまな品種がいます。たとえばホルスタインは、群編成ストレスには強いのです。陽気な外人さんみたいに、パーティー出始めてあった人とでも「(^o^)/ハーイ」とかいってすぐに仲良くなれるんです。これに比べて日本人は、どうも気後れして壁の花になっていることが多いでしょ?和牛も日本人とおんなじ様に人見知りするので、「群編成ストレス」に弱いのです。

 しかし、逆に和牛は群れから1頭話してもそこまでのストレスは受けません。だから、群れの中で肺炎になった牛さんを隔離したりして治療しますよね?もちろん、全く平気というわけではありません。2頭部屋にいた肥育牛の片割れを出荷したら、もう一頭が餌を食べなくなってしまった、なんてことはよく耳にします。それでも、ホルスタインに比べたら、群れから離されるのには強いのです。

 ホルさんは、80頭くらいの群れは平気で作れますが、たとえば肺炎になった子牛がいて、群れから1頭離して治療しようとすると、「群乖離ストレス」のために、余計に免疫まで低下させてしまい、治癒が遅れることがあります。僕は、ホルさんを群れから離すときは、仲の良い2~3頭一緒に離してあげるように勧めています。

 牛さんは、あんなでかい身体をしているのに繊細なのですね。

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