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蓮沼浩のコラム
第589話:BRDC病原体の検査について その15

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2019年10月17日

シェパードでは獣医師を募集しています
 シェパードでは、関東地区の獣医療が不足している地域を支援するため、栃木県那須塩原市に支所を設けることにいたしました。2020年の4月に開設する予定です。経験、未経験は問いません。シェパードで研修後、現地勤務となります。募集内容は こちら から。

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 休日に自分の部屋を大掃除。洋服も夏物と冬物を分け、これからの季節に向かって準備です。農場もちょっと早い気がするかもしれませんが、冬に向けて準備を少しずつはじめてみてはいかかでしょうか。
 
 
 皆さんSPF(エスピーエフ)という言葉は御存じでしょうか?時々スーパーなどの食肉コーナーでみかける事があります。豚肉の約10%程度普及していると言われています。養豚の世界では有名です。SPF豚などと言われています。では、このSPFとはいったい何のことなのでしょう?

 Specific-Pathogen-Free を略してSPFとなります。

 日本語に訳すと「特定病原体不在」、Specific(特定の)Pathogen(病原体)Free(不在)となります。あくまでも無菌(Germ Free)ではなく、特定病原体という点が重要です。この点の誤解が結構あるようなので、正確に理解しておくことが重要です。

 では、養豚ではこのSPFの中で「排除対象疾病」として認定されているものは何になるのか。2016年の改定では、以下のものになります。

 オーエスキー病(Aujeszky’s disease ; AD)
 委縮性鼻炎(Atrophic rhinitis ; AR)
 豚マイコプラズマ性肺炎(Mycoplasmal pneumonia of swine ; MPS)
 豚赤痢(Swine dysentery ; SD)

 その他に「監視対象疾病」というものがあります。

 トキソプラズマ病(Toxoplasmosis)
 サルモネラ・ティフィムリウム感染症
 (Salmonella Typhimurium infection ; ST)
 内・外部寄生虫感染症

 これらの疾病はどれも養豚の生産性に大きな影響を与える重要疾病になります。治療しても完治することが難しい厄介な疾病になります。しかし、逆にこれらの疾病が牧場内にいなければ牧場の生産性は大きく向上します。

 実はこのSPFという概念は養豚の世界では有名ですが、牛さんの世界には存在しません。小生はこのSPFという概念を、何とか肉用牛の世界にも作ることができればいいなと思っています。次回からはこのSPFと肉用牛の関係について色々述べてみようと思います。

今週の動画「牛の保定法 6 restraint of cattle’s head 6」

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