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戸田克樹のコラム
第254話「管理や治療におけるアクセルとブレーキ」

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2019年10月2日

牛さんの管理や治療には常に悩みがつきまといます。この「悩む」という行為は立ち止まり考えるきっかけになるブレーキです。逆に、取り組みがうまくいっていれば「これいけるじゃん!」と同じやり方をしばらくは続けていきますので、こちらはアクセルです。ブレーキだけでは前に進めないどころか、悩み疲れて気分も落ちてきてしまいます。逆に、アクセルを踏み続けるとどこまでも突き進んでいって道を見失うことがあるかもしれません。やはり大切なのはバランスです。

例えば私の場合を考えてみましょう。

病気の牛さんに治療を行い、症状が改善したとします。そうすれば、「おし!このままやってやんぞ!」と気合を入れて、ひたすら同じ治療薬を打ち続ける、あるいは同じ治療法を続ければ良いですね。

一方で、治療しても思っていたように改善しない場合があります。このときは「ん?ちょっと待てよ…」と立ち止まって考え始めます。立ち止まったしまったら、これまでの治療をふりかえり、やっていない検査をやってみて、さらには他の獣医師の知恵も借り、いろいろな情報を集めてみる、といった流れで別な治療法を模索し実行してみることになります。

大切なのは「悩みすぎない」ことです。

思うようにいかず、「ん~…。あれ~?おかしいな~どうしよう・・・。え~!?」、と悩み続ける場合があるかもしれません。でも、それではまったく前には進みません。一旦立ち止まったら、とにかく考えて何か案を出し、それをやってみる。そしてダメならまた考える。立ち止まるのは「一瞬」だけです。なるべくその時間は短くし、悪い点が分かればそこを改善し、また別な方法をとりあえずやってみるべきだと思います。

やると決めたら、まずはとことんやってみる。そして少し立ち止まり、振り返り、結果を判定し、ダメなら別なやり方を。よければひたすら続けるのみ。単純にその繰り返しなんです。

いろいろと悩み疲れてしまったら、気持ちを切り替えてアクセルを踏んでみてはどうでしょうか。
いろいろやってるのにうまくいかないと感じたら、一旦ブレーキを踏んでみて振り返ってみてはいかがでしょうか。

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