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松本大策のコラム
添加剤の中身はよく確認しよう!

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2019年9月30日

シェパードでは獣医師を募集しています
 シェパードでは、関東地区の獣医療が不足している地域を支援するため、栃木県那須塩原市に支所を設けることにいたしました。2020年の4月に開設する予定です。経験、未経験は問いません。シェパードで研修後、現地勤務となります。募集内容は こちら から。

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 今年は各地で台風や大雨などによる被害が出ていますが、みなさんの農場は被害はありませんか? もしも被害があるようでしたら、こちらにも教えて下さい。なにができるのか解りませんが、必要なものを教えていただければ、少しでも出来る事があると思いますし、このホームページでみんなに呼びかけることだってできます。

 ところで、今回は添加剤のお話しです。子牛から肥育牛に至るまで、たくさんの添加剤がありますよね。生菌剤をはじめとして、ビタミン剤、カルシウム剤などのミネラル製剤、免疫を補うための抗体を含んだもの、カビ毒防止剤など、さまざまなものが世に出ています。これらの中には、大変役に立つものもありますし、効果が本当にあるのかなあ?なんてものもあります。

 もちろん効果の高いものをお選びいただくのは当然ですが、それぞれの効果が高く品質の良いものを選んで使っていても、組み合わせることによっては、効果が減少するどころか、かえって害が出ることもあるので注意が必要です。

 よく見かけるのは、同じ成分を含んだ別々の添加剤を重ねて使うことによる「ある成分の過剰投与」です。たとえば、最近は「銅欠乏症」が増えていることもあって、銅の添加は重要なのですが、子牛のミルクに含まれている分や、与えているすべての添加剤が含む銅の量を考慮しないと、逆に「銅過剰症」を引き起こしてしまいます。

 ちなみに銅過剰症の症状と言えば、前日まで元気だった子牛が急に元気食欲消失し、その時点で肝臓の異常をあらわすASTやビリルビンの著しい上昇を認め、いわゆる急性の肝炎から全身の黄疸をおこし、死に至る割合も高い、という感じです。


 写真:眼球の黄疸

 僕の知る例でも、与えている添加剤は大変優秀なものであったのですが、その中にも銅が含まれていたのに、ミルクにも硫酸銅が含まれており、さらに他の添加剤も与えていたのですが、その中にも硫酸銅が含まれていたのです。

 結果的に、給与されている銅の量が過剰となり、40日くらいで銅過剰症を発症したのです。特に子牛は、過剰症に弱いので注意が必要です。

 他にも、いろいろな生菌剤を併用していると、相性が悪くてかえって下痢やガスが出やすくなってしまったというものもよく遭遇します。注意しましょうね。

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