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蓮沼浩のコラム
第579話:BRDC病原体の検査について その5

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2019年8月8日

シェパードでは獣医師を募集しています
 シェパードでは、関東地区の獣医療が不足している地域を支援するため、栃木県那須塩原市に支所を設けることにいたしました。2020年の4月に開設する予定です。経験、未経験は問いません。シェパードで研修後、現地勤務となります。募集内容は こちら から。

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 昨日笹崎獣医師と午後2件の手術をしたのですが、あまりの暑さで死にそうになりました。汗の量が半端なく、全身ずぶぬれ。サウナで手術しているみたいです。最後の方はちょっと朦朧としてしまいましたが、笹崎先生は超元気。若いね~~~。

 肉用牛のBVD対策で重要なことは、牧場内にPI牛を持ち込まないことになります。そのために、外部から導入する子牛に対して小生は全頭検査を実施するべきだと思っています。特に濡れ子導入を行う牧場は積極的に検査を実施するべきだと思っています。今回の事例のように、妊娠牛で買ってきた場合は産まれてきた子牛も検査をするべきだと思います。大規模牧場であればあるほどPI牛の入り込む可能性が高くなるので、検査の重要性は高まります。小生は本当に莫大な労力と経費をかけて、侵入防止に努めている牧場を何ヵ所か知っています。それだけPI牛が牧場内に入ってきた時の被害が甚大だからです。本当にとんでもない被害になります。大規模牧場では絶対に牧場内への侵入を阻止しなければいけない最重要疾病になります。

 ただ・・・・文章で書くのは簡単だけど、実際にやるとなると本当に大変なことになりますよね。非常によくわかります。はっきり言って超大変です。

 多くの牧場は着地検査など実施していないと思います。牧場ごとに色々な考え方や問題があり簡単には取り組めないと思います。また、この病気の難しい所はちょっと変な感じがしますが、PI牛の頭数が少ないという点になります。少ないので、検査してもほとんど陰性になります。重要なのはわかりますが、陰性ばかりだとこれまた気持ちが萎えます。地域差もかなりあります。非常に重要な疾病であり、被害が甚大であるにも関わらず、肉用牛では検査に膨大な労力とコストがかってしまう、対策の非常に難しい疾病になります。  
 今回鼻腔スワブからBVDウイルスを検出することができたことは、この疾病の検査体制に新しい風を吹き込むことができる可能性があります。現在は一頭一頭個別に検査する方法ですが、今後は多検体を同時に検査する方法を構築するなど、さらなる改良に大いに期待したいところです。

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