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蓮沼浩のコラム
第576話:BRDC病原体の検査について その2

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2019年7月18日

 やっと鹿児島の天気は少し落ち着いてきましたが、今度は妙に蒸し暑い日が続きます。体調管理には十分気を付けていかなくてはいけませんね。

 前回の続きです。

 今回開発されたDNA検査装置は「GenelyzerTMⅡ」といいます。これに牛呼吸器病遺伝子検出キットを組み合わせて使用します。この検査装置で検出できる病原体遺伝子は全部で9種類あります。以下の表にある病原体になります。


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 「牛の鼻腔スワブ」を用いて、一回の検査でこれらの病原体遺伝子を検出できます。今までは別々に検査するしかなかったものが、一回で検査できるという優れものです。
 さて、皆さんはこのラインナップをみてどう思われたでしょうか?ここは非常に重要な点で、多くの意見がありそうですね。あれが入ってないじゃね~~かとか、これはいらないんじゃないかなど、人によっては意見が異なりそうなポイントですね。小生としては、マンヘミア・ヘモリティカ、マイコプラズマ・ボビス、牛RSウイルス、牛ウイルス性下痢ウイルスⅠ・Ⅱ型、コロナウイルスが入っているので十分に満足していますが、出来ればパスツレラ・ムルトシダは欲しかったな~~と思っています。

 この装置を用いて「網羅的遺伝子検査手法を応用した家畜の疾病防除対策の開発にかかわる研究」が行われ、その事前調査として9県39農場、約400頭の検査結果の報告があります。その結果は以下の表のようになります。


(↑クリック拡大)
 
 最初にパンフレットを渡され、この結果を見たときは「へ~~~~~~、そうなんだ~~~~~」ぐらいの軽い気持ちでした。この数値を見ただけでは「ま、こんなもんかな」と、この検査のすごさを何もわかっていませんでした。残念ながら、この結果が表すとんでもない可能性について小生は不覚にも全く理解できていませんでした。しかし、実際に現場で検査を実施したことで小生はこの検査の持つ、とてつもない可能性に遅ればせながら気が付きました。さてさて小生は一体何に驚いたのでしょう????

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