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戸田克樹のコラム
第243話「実は水!」

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2019年7月17日

「午前中はエサ食ったのに、夕方粗飼料だけごっそり残した」という電話を受けて診察に向かったときのことでした。その日は連日の雨が止み、蒸し暑かった1日でした。

要治療牛の部屋に近づくと、1頭のメス牛がウォ―タ―カップで水を飲んでいました。
「シャー…」
ん?勢いが弱くないか?

部屋に入り保定されている牛さんの診察に入ります。
体温38.6℃、呼吸数正常、肺音なし、腹部の拍水音やピング音など異常音なし。
でも、便が…硬い。量がやや少なめで硬め、なおかつシワの寄った便。

これはもしや。
ということで、水の入ったバケツを持っていくと

ズオー!ズオー!
と、首を突っ込んでガツガツと水を飲み始めました。

1部屋にウォ―タ―カップが1つしかない、さらに水圧が低い、となると牛さん同士で水の奪い合いが始まります。順位の弱い牛さんは飲みたいときに飲めず、ストレスもたまります。
調理された料理を食べる私たち人間でさえ食事中には水などに水分を欲しますよね。水をほとんど含んでいない粗飼料を食べるには水が不可欠です。水もエサのひとつ!というくらい水は重要です。どの牛も水が自由に飲めているか、本格的な夏が来る前に改めて確認してみましょう。

なお、この部屋には大きなバケツを用意してもらい水飲み場を増やすことで緊急事態をしのぐことになりました。

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