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笹崎直哉のコラム
牛さんが弱っているサイン 

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2019年7月16日

 先日ダンス練習中に足元で「ビリッ」と音がしたので見てみると左足のシューズに穴が開き、破れかかってしまいました。長い間使っていたのでしょうがないなあと思っていたのですが、左足とシューズとが完全に固定されないため、思うように動かせなくなってしまいました。さらに軸足が左足なので、これでは練習にならないと思ったのですが、「右足軸の意識で練習しよう」と発想の転換がうまれ、ここ2~3回の練習は右軸意識で行いました。その後、靴を買い替えて通常の練習方法に戻すと全体的なスキルが上達したように思えました。右足軸の練習が功を奏したようです。まさに「禍を転じて福と為す」というのはこういうことかと実感しました。
 
 
 ここ2ヶ月間で牛さんの下痢の治療で日齢や月齢を問わず、糞便検査でコクシジウムが検出される症例が多いように思えます。コクシジウムの検査は糞便を持ち帰り、飽和食塩水で希釈させた後、スライドガラスにのせて観察すればよいので、比較的容易にチェックすることが可能です。中には顕微鏡の1視野にコクシジウムの虫卵を何個も発見し、濃厚感染が成立していることも、、、

 寄生虫であるコクシジウムの単独感染であれば、そこまで重度な下痢を招くことはありません。しかし毒素を出すクロストリジウムなどの細菌と手を組んで混合感染してしまうとやっかいなことになり、なかなか治りがよくありません。気合のいれた治療が必要になってきます。軟便~泥状便でもコクシジウムが発見されることがあります。では、そんなときにはどんな対策を行いますでしょうか。

 まず第1に駆虫や床の状態をチェックすると思います。これも非常に大事なことですが、牛さんの抱くストレスとの関連性はいかがでしょうか。実は離乳ストレスだったり、群編成ストレスやビタミンが不足する時期など、牛さんが弱って免疫が落ちているときには腸粘膜も弱るため、これを狙ってコクシジウムが体内でどんどん増えてしまうことも考えられます。こういうときこそ個体管理に加えて群管理に目を向けて全体的に弱っている牛さんがいるのかどうか、いるならば何をストレスとして感じているのか意識してみるとよいかもしれません。

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