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笹崎直哉のコラム
カーフハッチについて その1

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2019年5月21日

 皆様お疲れ様です。今回のテーマは「カーフハッチ」です。人工哺育の農家さんでは子牛をハッチに入れて人工哺育することは、当たり前のように考えられていますよね。ハッチにも日光や雨を避けるために屋根がついたハッチ、柵で囲まれた小さな庭のようなハッチ、高床式のハッチなどいろいろありますよね。でも農家さんの中には「ハッチの子牛が下痢をする」「ハッチの子牛がミルク飲む元気がない」など悩まされている方が多いです。ではそもそも「ハッチ」というのはどういうものなのか考えていきましょう。

 生まれたばかりの子牛は体力が弱く病気にかかりやすいため、群で飼ってしまうとちょっとしたことが病原体をほかの牛さんにうつすきっかけになってしまいます。これを改善するために子牛サイズに設計されたミニ牛舎がいわゆる「ハッチ」になるのです。基本的には感染予防というものにターゲットを絞っているわけですね。成牛や育成牛が飼育されている牛舎の外にハッチを設置している農家さんをよく見かけますが、これはバイ菌やウイルスに汚染される頻度をほかの牛さんと距離を設けることで少なくし、ちょっとでも子牛にとって適した環境作りを意識されているのだと思います。この概念に沿って考えればハッチを卒業しパドックで群飼いするのは「感染に対して体力と抵抗力がついた牛さん」が該当することになります。

 これを念頭に次回からさらにカーフハッチの利点や欠点を考えていきましょう。

つづく

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