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蓮沼浩のコラム
第563話:治療の方向性

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2019年4月11日

 結構暖かくなってきたと思ったら、突然低気圧がきて鹿児島は荒れました。久しぶりに風が強かったですね~。

 治療する時に小生が気をつけていることに、診断をつけること以外に、その牛さんの将来を予測しながら治療計画を立てるということがあります。短期的視野(1日~3日)、中期的視野(7日~1ヶ月)、長期的視野(1ヶ月~)と自分では勝手に分類しています。もちろん、この期間の区切りは非常に曖昧な面もありますので、そこまで厳密にはならずに、大まかに考えています。

 例えばちょっとした風邪であれば、短期的視野の3日でいけそうだとか、肺炎であれば中期的視野で考えようとか、蹄葉炎などであれば、長期的視野でいけるところまで行ってみようなど、初診からある程度の治療期間と方向性を考えるようにしています。急性疾患であれば、短期的視野で急場を乗り越え、その後に中期的視野で方向性を決めていくこともあります。もちろん途中で方向性がかわることもありますが、治療を行う時は絶えずこれらの点を良く考えて、そして農家さんと今後の方向性について話してから取り組むようにすることは、非常に重要なことだと思っています。
 
 そして、検査や治療の反応を見ながら実際に治療を進めていきます。何度も言いますが、気をつけることは、とにかく「治療の方向性」がしっかりとしていることになります。色々な獣医さんや牧場の治療履歴を見てきて思うことは、状況によってとにかく治療の方向性がコロコロ変わってしまうことは気をつけなくてはいけないということになります。カルテを見たりすると、それはそれは薬やら方向性やらがブレにブレまくっていることもあります。このような場合、小生達は「治療が散らかっている」といいます。

 「いや~~~、めちゃくちゃ散らかっているね~~~~」

などという事がないようにしたいですね。

 しかし、言うは易し、行うは難し。偉そうに小生も話していますが、診断がしっかりとつけきらずに、思いっきり散らかった治療をしてしまうこともあります。そのような時はとにかく農家さんといろいろ話したり、スタッフで話し合ったり、文献を読んだり、さらに検査したりして、とにかく治療の方向性をできるだけ早く付けるように頑張ります。診断がついて、治療の方向性が決まると散らかっているものがだんだんすっきりとなってきます。

 シンプルにすっきりとした診療。

 小生の目指すところです。

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