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蓮沼浩のコラム
第559話:PTI

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2019年3月7日

 3月に入り、啓蟄も過ぎました。季節の変わり目なので、牛さんも人様も健康に十分注意していきたいですね。小生も体調管理には気をつけたいと思います。「元気に、楽しく、明るく」が基本です。

 PTIという概念があります。これは、Post Treatment Intervalの略になり、和訳すると、「治療後の経過観察期間」となります。持続型の抗菌薬を投与した後に、有効濃度が維持されている期間を経過観察期間とし、基本的には経過観察のみを行い、追加治療は行わないという方法になります。

 小生も良く肺炎治療を行っている時に、症状が落ち着いてから持続型の抗菌薬を投与し、何日後かに再診して状態を確認するということをします。これは継続した治療後にPTIを設定している方法になります。しかし、これからは初診から積極的にPTIを設定し、持続型の抗菌薬を投与し、数日後に再診するという方法も今以上にメジャーになってくるかもしれません。

 ただ、現場としてはちょっと怖い面もあります。初診の状態にもよりますが、やはり少なくとも翌日までは状態を見たいという気持ちが獣医さんにはあるのではないでしょうか。しかし、人様の場合は風邪で病院に行っても、お薬をいただいてその後は家で休むということになり、状態にもよると思いますが、毎日病院にいくことはありません。一応薬は飲んでいますが、毎日診察されているわけではありません。

 この方法がうまく使えるのはやはり症状が軽い個体や、しっかりと検温や観察ができる所に限られるかもしれませんね。また、再診の日をいつに設定するかも重要です。あまりにも再診の日が遅いと、牛さんがとんでもない状態になっている可能性もあるし、すっかり再診日を忘れてしまう事例もあるかもしれません。

 気をつけなければいけない点もあると思いますが、毎日の診療に上手にこのPTIという概念を取り込んでいけば、診療費や労力の削減に大きくつながる可能性もあります。シェパードの予定表にはやたら「再診」という言葉が記入されています。これからは薬治、PTI、再診というものがより重要になってくるように思っています。

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