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笹崎直哉のコラム
分娩部屋とハッチをセットで考える

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2019年2月19日

 皆様、毎日牛さんのお世話大変お疲れ様です。突然ですが、質問です。繁殖農家さんでこのようなことはありませんか?

 「ハッチは綺麗にするよう意識しているのに生後一週間ほどで子牛がいつも下痢をしてしまう」

 ここで確認して頂きたいのが、今回のテーマになる分娩部屋です。出産後、初乳摂取等の関係上お母さん牛と一緒にいる期間を3日間~1週間に設定し、その後ハッチに移動するといった方が多いと思います。でもその期間は特に下痢もなく順調なのに、ハッチに移動したら下痢をしてまうケースはありませんか?もちろんハッチは清潔で、床も乾燥した綺麗な敷料を使っている場合もです。

 ここで視野を分娩部屋に絞ります。このエリアがウイルスやバイ菌に汚染されている場合、赤ちゃんが産まれたらもちろん口を介して汚染物に暴露されてしまいますよね。しかし潜伏期間といってウイルスやバイ菌がお腹の中に定着し、悪さをして、下痢といった症状が現れるまで時間がかかってしまいますから、いざ子牛が下痢をはじめるタイミングがハッチの時期と被ってもおかしくありません。いざ下痢を始めるとしばらく長引く可能性があり、下痢便を介して病原体がどんどん排出されるわけですから、水平感染といったハッチ同士での感染もあり得る話です。こうなると負の連鎖になり、若齢の虚弱子牛さんなんかはぐったりしてしまうケースがあるので特に要注意です。

 こんなときはハッチと分娩部屋の状態をセットで見直し、それぞれしっかりと洗浄と消毒を行うよう心掛けましょう。非常に大変で手間がかかると思いますが、牛さんが健康になればきっと農家さんもモチベーションがあがり、幸せな気分で仕事ができるのではないかと思います。頑張りましょう!!

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