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「和牛への支援と将来展望(出雲普及員のコラム第5弾-12)」

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2019年2月1日

12,新しい力
 
 平成28年まで和牛頭数は減少の一途でしたが、平成29~30年でようやく、和牛頭数が増加に転じました。肥育農家さんが繁殖部門を始めたり、大型酪農経営が受精卵移植により和牛生産に取り組むなどしたからです。高齢農家さんがやめたことによる頭数減少を補うことで、頭数が増えつつあるようですが、繁殖経営の場合、主力は個人の農家さんが担うことが必要だと私は考えています。それは、1頭1頭をきめ細かく観察しながら、飼養管理に手をかけられるのは、個人経営の農家さんだと思っているからです。

 そういう中で、私が現地を見ていてもったいないと思うのは、20~30頭の繁殖牛を飼育する農家さんが、後継者がいないことを理由にやめる方が多いことです。牛、施設、土地、機械があるにも関わらず、跡を継ぐ人が居ないためにやめざるを得ないのは、何とかならないものでしょうか。第3者でも代替わり出来るような、継承制度が欲しいと思います。

 大学での肉牛の講義後に、感想文を書いてもらうと、肉牛経営に興味のある学生が相当数いることが分かります。しかし、卒業近くになっていざ就農計画を組むと、資金力がないことには経営を持続させることが困難であることに気が付きます。このように新規に和牛経営にチャレンジしたい方はいますが、牛、施設、土地、機械が全くない状態で始めるには、お金がかかりすぎます。繁殖経営であれば、専業農家として軌道に乗るまでに10年はかかってしまうので、たいていの新規就農希望者は断念せざるを得ないのが実情です。

 園芸や酪農に新規就農する方はたくさんいますが、軌道に乗るまでに時間がかかる和牛繁殖経営はハードルが高いのです。このハードルを少しでも下げる工夫が必要です。リース契約を結びながら、牧場を新規就農者に貸し出す制度を設けるなど、新しく始める人の金銭的負担を減らすことが出来るような取り組みを、地域の力を結集して取り組み、それを国が支援すべきだと考えます。

 知恵を出しながら、和牛生産者のすそ野が広がることを望みます。

酪農学園大学での講義と受講後の学生感想文

(完)

技術士(農業/畜産) 出雲将之
 
 
~ 出雲普及員のコラムシリーズ ~

出雲普及員のコラム第1弾「幸せな牛飼いとなるための10カ条-1

出雲普及員のコラム第2弾「厳しい時こそ「カイゼン」のチャンス-1

出雲普及員のコラム第3弾「牛さんの気持ちになって考える

出雲普及員のコラム第4弾「牛さんとわたし
 
 

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