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笹崎直哉のコラム
膿瘍について考える その3

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2019年1月15日

 切開後は排膿を行いますが、ここでもポイントがいくつかあります。

 膿瘍の隔壁というのをご存知でしょうか。膿瘍が形成している1つの空間を果物のミカンに例えると、皮にあたる部分を膿瘍の隔壁と呼んでいます。この隔壁は細菌が時間を掛けて作り上げたバリケードのようなものです。化膿が始まってから時間が経っているものや細菌の種類にもよりますが排膿させる際は隔壁の有無を確認し、発見した場合には念入りに取ってあげることが重要です。残してしまうと再度膿汁が溜まり再発してしまうことがあります。

 また排膿時には出血が伴うケースが多いです。膿瘍周囲の組織は炎症により、血管が拡張しているためです。しかし大きな動脈による出血以外は自然に出血が止まるか、圧迫による止血が可能なので心配はいりません。また排膿後、洗浄を行うときは水道水を使っていきましょう。水道水で全く問題ありませんので、大量に使って、深い部分までしっかりと洗って綺麗にしていくことを目標としていきましょう。

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