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戸田克樹のコラム
第217話「そのお産、汚染(おせん)になっていませんか②~胎盤停滞を見つけたら~」

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2019年1月9日

人間の介助がない場合でも存在してしまう産道汚染のリスクにはどんなものがあるのでしょうか。(もちろん床がきれいであること、分娩時にしっかりときれいなワラを敷いてあることは最低限クリアできている場合での話ではありますが。)

とくに産後で注意すべきリスクファクターは「胎盤停滞」につきるのではないでしょうか。
胎盤停滞を引き金に、子宮内膜炎や子宮蓄膿症の発症が起こり、初回授精日が遠のいていく…という悲惨な流れに入っていく危険性が高まります。

では、胎盤停滞に出会ったらどうするのがよいのでしょうか。
体外に出ている胎盤を軽く引っ張って取れそうであれば、取れるだけ取ってあげましょう。
簡単に取れそうにない場合は無理に胎盤を引きはがすことは不要です。まだ結合が強い状態で無理にはがすと子宮内膜が傷つき、出血が起こります。損傷が生じると感染を起こしやすくなりますし、子宮回復の遅れにつながってしまいます。何事も無理はNGです。

はがせない場合は外陰部から少し出るくらいのところで残存胎盤を切ってしまいましょう。
長く垂れさがったままでは、胎盤が地面についてしまいます。その際に胎盤にまとわりついた土やワラなどが膣内や子宮内に侵入し、雑菌が産道内で増殖するリスクがあります。胎盤が取れない場合は、座り込んだ状態でも胎盤が地面につくことがないように短く切ることをおすすめします。

そういえば、胎盤停滞はなぜ起こってしまうのでしょうか。原因と対策を考えてみましょう。

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