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戸田克樹のコラム
第216話「そのお産、汚染(おせん)になっていませんか①」

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2018年12月26日

繁殖農家さんにとって、子牛が無事に生まれてくるかどうかは農場経営に大きく影響を及ぼします。前回の分娩から続く1年近い月日(受胎がうまくいかないともっと伸びてしまいますが…)を無駄にしないためには、無事に子牛が生まれてくることは非常に重要です。

無事に子牛を産ませるというタスクをクリアするため、お産の介助を行う機会も多いかもしれません。私たちも「子牛がでてこない!」という連絡を受けてお産の介助を行うことは多々あります。繁殖母牛の多頭化が進み、「毎日のように分娩がある」という農場も出現しています。
こうしたお産については「子牛を無事に娩出させること」に意識が向かいがちですが、本当は母牛にももっと意識を向けるべきなのではないか、と最近思うようになってきました。

ということで、今回からは身近であるお産に関して、「分娩にからんだ産道の汚染」をテーマにお送りしていきます。「うちはほとんどお産の介助をしないから」という農家さんもいらっしゃるかもしれません。介助をしないスタンスでも、事故がなければそれはたいへんすばらしいことです。しかし、そうした人の手による介助がない農場でさえ汚染のリスクは転がっています。

お産の介助やお産に関連して発生してしまう産道の汚染…。
それはいったいどういうところで起こってしまうのでしょうか。つづく。

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