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蓮沼浩のコラム
第540話:アニマル・ウェルフェア その1

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2018年10月18日

 最近は朝晩すっかり冷え込むようになってきました。それに伴い、呼吸器病が多発する農場もでてきています。注意が必要ですね。

 アニマル・ウェルフェアという概念があります。日本語では「動物福祉」などと言われていますが、この言葉はいまいちピンとこない印象をもっていました。すると、平成30年3月に「アニマル・ウェルフェアの考え方に即した肉用牛の飼養管理指針(第4版)」という文書が公益社団法人 畜産技術協会から発表されました。どうしても産業動物獣医師や畜産農家さんはアニマル・ウェルフェアに関しては奥手なところがあるような印象があるのですが、これからの畜産業では避けて通れない事と小生は考えていますので、しっかりと冊子を読み込んでみました。

 読んでみた結果・・・・・

「一部難しいポイントもあるけど、どれも非常に重要な事である」と思いました。

 小生が一番重要な点と思った事は、アニマル・ウェルフェアに関して再定義している点になります。「動物福祉」という言葉では何だかよくわからなかったのですが、次のように定義しています。

 アニマル・ウェルフェアとは「快適性に配慮した家畜の飼養管理」である。

 これならば非常に良くわかります。現場では皆さん「快適性に配慮した家畜の飼養管理」がしっかりとできていますか??診療やコンサルでたくさんの牧場を見てきた小生の感じとしては、まだまだ十分に「快適性に配慮した飼養管理」ができているところは少ないような気がします。小生は飼養衛生管理が非常に重要といつも思っていますが、まさにこのアニマル・ウェルフェアも同じことになります。「快適性に配慮した家畜の飼養管理」を行えば、必ず疾病は減り、生産性は向上すると思います。アニマル・ウェルフェアや動物福祉という言葉に抵抗感がある方も、是非とも「快適性に配慮した飼養管理」という言葉を使って牧場を改善してみてはどうでしょうか。

 養鶏、養豚、乳牛などの畜産業全般にアニマル・ウェルフェアは適応されていますが、小生は肉用牛の獣医師なので、肉用牛の世界を念頭に文章を書いています。

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