(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
笹崎直哉のコラム
ルーメンについて考える その3

コラム一覧に戻る

2018年10月16日

 続いてルーメン内に生息する微生物について考えていきましょう。主に3種類に分かれます。大型で活発な運動性を持つ原生動物(プロトゾア)。続いてルーメンの発酵に関わってくる細菌。また生息密度は低いですが、強い繊維分解能を持っている真菌になります。

 細菌はなんと1gあたり 100億~1,000億個存在し、真菌は1万~10万個、原生動物(プロトゾア)は10万~100万個ルーメン中に生息します。

 さらに複雑になってきますが、細菌に関しては生息場所と機能面に着目して4つの菌群にまとめることができます。

 そもそもルーメンは気体(ガス)が満ちた気相部、牛さんが食べた粗飼料の繊維質によるルーメンマットや固形飼料が集まる固形部、胃汁が集積した液状部の三層構造になっています。ちなみに発育不良の牛さんに対して胃汁移植するケースがありますが。採取時はルーメンの1番深いところにある液状部から、採取しなければなりません。ここでは主に遊離型菌群と呼ばれる細菌がいます。固形部にはその名の通り牧草などの植物切片や穀物粒に付着ないしは局在する固形型飼料固着菌群が生息しております。さらにルーメン上皮に引っ付いて生活するルーメン上皮固着菌群や大きな微生物であるプロトゾア(原生動物)と共生するプロトゾア(原生動物)固着菌群がいるのです。

 なんだか非常にややこしいですね。昔から「牛さんを育てるときはルーメンを大きくしての粘膜も強く頑丈なものにしていきましょう」と言われますが改めてその重要性を痛感しますね。

つづく

|