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松本大策のコラム
腰椎ヘルニアで苦しんでいる方はいらっしゃいませんか?

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2018年8月13日

 先日、大阪で頸椎ヘルニアの検診を受けてきました。大阪のコンサル先の中植さんからご紹介いただいたのですが、とても良い先生で、ヘルニアの処置の技術はもちろんのこと、機械の開発・特許取得、コンピュータプログラムなどもプロ並みにこなすという、いわゆる天才というか変わった先生でした。とても気があって、午後休診にもかかわらず、お昼ご飯抜きで6時間半も話し込んできました。これからのシェパードや農場の方向性なども、いろいろと示唆を受けて、久しぶりに頭が飽和状態というか、とても良い刺激を受けました。

 あ、本題は「腰椎ヘルニアに対する処置の素晴らしさ」でした。まず、脊椎ヘルニアとはどのようなものか?というと、みなさんの背骨はたくさんの骨が積み重なって、身体が前後左右に自由に(僕は最近と手も硬くなってきましたが(涙))動かせるわけです。で、この一個一個の骨の間に、クッションのようなものがあって、これが椎間板と呼ばれます。なにかの本で読んだのですが、椎間板の構造は、たとえると「あんパン」みたいなもので、比較的堅い「繊維輪」の中にあんこのように柔らかい「髄核」というのがあります。この「あんこ」がパンを破って飛び出して、脊髄神経を圧迫するから痛みやしびれ、ひどくなると麻痺などが現れる病気が脊椎ヘルニアです。腰骨で起こると腰椎ヘルニア、首だと頸椎ヘルニアと呼ばれます。


図1:成尾整形外科病院のHPより
 
 昔は、背骨を切開するという大がかりな手術が必要だったのですが、最近ではファイバースコープによる生体侵襲の少ない(簡単に言うと、患者に負担の少ない)手術が行われるようになってきました。とはいうものの、ファイバースコープの太さは4.4mm程度もあり、これを背骨の間(椎間板)に差し込んでレーザーで焼いたり、切り取ったりする、というものです。昔に比べたら簡単になったとはいえ、ちょっとぞっとしますよね。

 でも、この先生(あ、忘れてました。本地川先生(写真1)とおっしゃいます。)の処置は、18ゲージの針(牛さんの注射で使う細い針です)を、患者さんの椎骨に合わせて湾曲させたものを刺して(写真2:この針も先生の考案でユニシスさんが作っています。)、その中に細いレーザーの器具を通して髄核を焼くという治療法(写真3)です。局所麻酔だけですみますし、入院も不要なのです。


写真1


写真2


写真3

 結構、腰椎ヘルニアで困っていらっしゃる方が多いので、お役に立てればと思ってコラムにしました。またまた牛さんと関係のない話題ですが、僕は「しあわせな牛飼い」である前に「しあわせな人」であって欲しいんです。

 本地川医院のホームページ https://motochigawa.net/sp/

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