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蓮沼浩のコラム
第528話:日EU EPA

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2018年7月19日

 連日の猛暑で本当に診療中は汗だくになります。熱中症で病院へ搬送される方も多いと聞きますので、体調管理には十分気を付けていきたいですね。

 さて、先日ヨーロッパからドナルド・トゥスク欧州理事会委員長とジャン=クロード・ユンカー欧州委員長が来日し、7/17(火)に日EU EPAの調印式が行われました。これで日本は世界のGDPの約3割、世界の貿易額の約4割を占める世界最大級規模の経済圏の中に組み込まれることになりました。貿易に関する国際試合に参加することになったわけです。さっそく牛肉の関税を調べてみると、段階的にセーフガードはありますが関税は下がっていき、15年後には完全撤廃になるそうです。TPP11は16年でほぼ関税撤廃ですから、似たような時期に日本の牛肉の関税はなくなることになります。

 首相談話には「EPAへの署名は、保護主義的な動きが世界で広がる中、日本とEUが自由貿易の旗手として、世界をリードしていくとの揺るぎない政治的意思を世界に鮮明に示すものであり、EPAを礎に、今後も日EUが自由貿易の旗手として、WTOを中心とする多角的自由貿易体制を堅持、発展させていきたい」とあります。
 また、「日EUが引き続き自由貿易の旗手として世界に範を与え続ける」という文言もあります。

 小生のような田舎の鼻くそ獣医師にはEPAやTPP11に関して残念ながらわかることはほとんどありません。良い事なのか悪い事なのか全然わかりません。しかし、今回の事から日本が以下の方向性で進むことは間違いないことだと理解しています。

・ これから15年後には日本の牛肉の関税はなくなる方向性で進んでいく
・ 日本が「自由貿易の旗手」としてこれからも進んでいく

 日本はかつて、1858年(安政5年)に安政五か国条約というものを締結しました。そのために、相手国の同意なしには変更出来ない協定税率を受け入れています。いわゆる関税自主権を喪失しています。治外法権の問題もあります。そのために、この条約をめぐって日本国内では1860年(安政7年)に「桜田門外の変」が起き、井伊直弼が暗殺されています(ほかにもいろいろ原因はありそうですが)。小生のつたない歴史認識では、この関税自主権を回復させるために、多くの苦労を重ねていたように思います。明治時代のほぼすべての時間を費やして、1911年(明治44年)にやっと外務大臣の小村寿太郎が関税自主権を何とか取り戻しています。ちなみに治外法権の撤廃は1894年に陸奥宗光が成し遂げています。これらのことは当時の日本の悲願だったと認識しています。
 
 今日本で起きていることは、これからの未来に大きな影響があることは間違いなさそうですね。後は歴史が判断していくことになりそうです。小生も冴えない頭で色々考えて行動していかなくてはいけません。何だか大変そうじゃ~~~~。
 
 
 
 
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