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笹崎直哉のコラム
子牛の肋骨骨折

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2018年7月17日

 前回に引き続き、お産の際に大事なお話をしていきたいと思います。今回のテーマは子牛さんの肋骨骨折についてです。ではどういうときに起こるのでしょうか。実はお産のときに赤ちゃん牛がなってしまうケースが多いんです。例えば難産のときに滑車を使って牽引するとしましょう。このとき胎子が大きかったり、逆子であった場合、産道を通過する際に胸部圧迫を招いてしまうことがあります。胎子の肋骨は他の骨と比べて柔らかいものですから、その結果、肋骨骨折を誘引してしまうパターンがあるのです。よく農家さんから「子牛が元気ないし、薬の反応が悪いんだけど」という連絡をもらった時は特に意識すべき病気といっても過言ではありません。でも私の経験上ではお母さん牛が自然分娩で赤ちゃんを産んだときなんかは肋骨骨折がみられないことが多いです。

 ではどう診断していきましょう。基本的には牛さんを立たせてあげた後、背骨から胸骨に向かって下方に両手でなでていくやり方になります。骨折がある牛さんに関しては胸部の凹み(陥没)や変形(左右不対称)が見られます。これも経験上の話ですが、逆子の場合は仮肋(非胸肋骨と呼ばれるところで前から8~13本目の肋骨のことです)の変形は見られることが多いです。また左右の肋骨を骨折し、牛さんを前から肉眼でパっと見ただけでも胸の形が変だな、というときは予後が厳しい状態で消炎剤で鎮痛緩和しても結局死に至ってしまうこともあります。

 実際に骨折を確認できた部分の毛を刈って肉眼的に見てみると内出血を起こしアザになっていることがあります。解剖時には肋間筋が出血していたり変形した肋骨が肺を圧迫して傷つけているケースも少なくありません。意外にも見落としてしまいそうな疾患なのでお産が終わった後は必ずといっていいほど肋骨の状態をチェックしてみてください。
 
 
 
 
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