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笹崎直哉のコラム
臍ヘルニアを発見!でもその前に

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2018年7月10日

 当院では、新生子牛の診察を始めるとき臍帯と肋骨のチェックをルーチンワークにしています。この2つをチェックするだけでお産時のトラブルの有無を確認できます(難産時の無理な滑車の牽引や臍部消毒を忘れていたりなど、、、)。実際に牛さんの検温の前に臍帯は腫れていないか、膿が付いていないか、触れたときに牛さんが痛がらないかを中心に精査し、肋骨は弯曲し骨折していないか、変形していないか、左右対称になっているかどうか等を見ていきます。ここで臍帯の病気に関しては少し注意してほしいポイントがあるのでこの場を借りて紹介させて頂こうと思います。

 先日「臍が腫れてる」という稟告で往診し、臍を念入りにチェックしました。すると深部触診にてヘルニア輪を確認し、指が一本入るサイズでしたので診断名を先天性の「臍ヘルニア」とし、ヘルニア輪も大きくないため経過観察してもらうように話を進めようとしていました(なおヘルニア輪が3指幅以上の大きさの場合は自然治癒が望めないケースが多いのでバンテージなどの固定や手術適応となります)。

 しかし触診時にお腹を蹴ったり、患部の熱感があったのでもう一度チェックしてみると、先端にて排膿が確認されました。もちろん化膿臭もしっかりと漂っている状態。

 そこで感染性の臍帯炎も併発していると判断し、治療を開始しました。今回のように臍ヘルニアと診断する際には必ず臍膿瘍や臍帯炎などの感染性疾患を併発していないかどうかの確認を怠らないのがポイントです。重度の臍ヘルニアで手術適応となっても、臍帯炎を併発していたら仮に手術して整復できても炎症を波及させてしまう恐れがあります。バンテージ固定にしても同じことがいえます。臍ヘルニアと判断したときは「他に何かないか?」ということにも注意していただけたらと思います。
 
 
 
 
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