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松本大策のコラム
みなさんの牧場は被害ありませんか?

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2018年7月6日

 年々台風や豪雨の被害が増えてきている様に思いますが、今回の豪雨も各地で大きな被害が出ています。みなさんの牧場は大丈夫ですか?

 僕のコンサル先の農場でも、大変な被害が出ています。畜舎の隣を流れる大きな川の堤防が決壊して、牛さんのお腹まで水がきて、排水する場所もなく、40cmの高さにある飼槽の中も水浸しです(写真)。
 このコラムを見ているメーカーさん、なにか支援物資があればおくってくだされば責任を持ってお届けしますし、農場の方にもどこからの支援物資かお伝えしますし、メーカーさんにも農場の状況をお伝えします。

 ところで、このように牛床も飼槽も水浸しになったときは、もうどこから手を付けていいのか解らない、という感じでしょう。こういうときは、牛床よりも、飼槽と水槽をきれいにする方を優先させましょう。おそらくは牛床の泥水を掻き出すよりも労力は少なくてすみますし、危険も少ないと思います。

 さらに、きれいな水と粗飼料を多めにして配合を減らして給餌しておくことで、第一胃の発酵熱で、牛さんの体温も保てますし、第一胃にへばりつく形の小腸にあるGALT(腸管免疫機構)も冷えないので、免疫もキープ出来ます。GALTが1℃冷えると、免疫は8%も低下するのです。第一胃の異常発酵を防ぐ意味で、ソフトシリカやゼオライトなどの吸着剤と、アースジェネターやビオスリーなどの生菌剤、トルラミンなどの酵母製剤を与え、異常発酵で出てくる毒素の分解と全身の細胞活性化のためにリカバリーMなどの強肝剤も与えればさらに良いと思います。

 何が正解かは、本当のところ神様しか解らないと思いますが、僕はこの手順をお勧めします。

 最後に、僕は牛さんが大好きですし、なんとか護りたいと思いますが、それ以上に人の命は大切です。危険が予測されるときは牛舎に近づくのはやめましょう。

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