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戸田克樹のコラム
第186話「子牛の下痢が悩ましい!⑬~初乳の成分~」

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2018年5月23日

初乳に含まれている免疫抗体(Immunoglobulin、免疫グロブリンの頭文字をとってIgで表記されます)には以下の5種類があります。

①IgG:免疫抗体の主役。体の中で一番多い種類です。病原体にくっついてその活動性を停止させたり、増殖力を弱めたり、毒素の効果を弱めたりします。
②IgA:作用はほとんどIgGと同様です。「鼻粘膜」や「消化管粘膜」に多く分布しています。「局所免疫抗体」とも言われ、体の中の限局的な場所で作用します。
③IgM:どのIgよりも早く働いてくれる初動部隊です。攻撃力はIgGに比べれば弱いですが、様々な種類の病原体にくっつくことができるので、機動力は高いです。
④IgD:よくわかりません。生体内に含まれる量も少なく、その機能はいまだ謎だらけです。
⑤IgE:この5種類の中で一番割合が少ないマイノリティーです。アレルギー症状や寄生虫感染のときに好酸球という種類の白血球から分泌されます。あまり出てこない方がいい種類の抗体ですね、花粉症の方はよくわかるよ思います(泣)。

G,A、M、D、Eと来ましたが、国家試験のとき「ガムデ抗体、ガムデ、ガムデ…」と唱えながらそれぞれの特徴を覚えたのが未だに癖になっているようです(笑)

また、抗体が病原体にくっつくと、白血球が病原体を飲み込みやすくなるという別の作用もあります。
白血球が病原体を飲み込むことを「貪食」といいますが、その貪食作用を強化するこの作用を「オプソニン効果」と言いますね。またひとつ賢くなりました(笑)。

ところで皆さん、「受動免疫移行不全」というワードは聞いたことありますか?

つづく
 
 
 
 
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