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松本大策のコラム
蛇舌とか舌遊びとか言われてる行動

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2018年5月7日

 毎日いろいろな相談をお受けしていますが、意外に多いのが、「蛇舌の牛が多い」とか「うちの牛は舌遊びをするのが多い」というものです。その中には、「最初は導入した一頭だけやっていたのに、周りの牛に伝染した」というものもかなりあります(どうも僕の表現は大雑把だなあ。こんなヤツを信じちゃダメですよ(笑))。

 本などを見ると、「これは牛のストレス行動です」と簡単に書いてあります。でも、それだけ言われても不安になりますよね。僕は、牛さんの舌遊びは、本来娯楽だと考えています。それでお母さんから子牛へとか、友達同士でとか教え合うものではないかと思うのです。
 実際、牛さんの前に立って同じ目の高さで、舌遊びの真似や、舌を使ってカポッカポッと音を出したりして見せると、じきに真似して同じように舌遊びや、舌を使って音を出す「遊び」をする牛さんがいます。

 ただし、人間でもストレスがあると手遊びが増えるように、牛さんも疾病や群ストレス、乾物量の不足などの場合は舌遊びが増えます。

 以前、「1日~2日だけ舌遊びをして、後は全くしなかった子牛や、ずっと舌遊びを続けている子牛、暫く続けて途中から全くしなくなる子牛、まったく舌遊びをしない牛などいろいろな牛がいるんです」という相談もありました。みなさんはボールペン回し、できますか?僕はできませんが、結構手遊びでやってる人がいます。でも僕は練習してもできません。それと、人間の場合、巻き舌ができる人とできない人は遺伝子レベルで違うそうです。簡単に言うと、牛さんにも不器用な子や飽きっぽい子がいるのかもしれませんね。

 舌遊びが多くなってきたら、牛さんたちに余分なストレスがかかっていないかを確認しましょう。ただ、僕たち人間も、たくさんのストレスを抱えていますが、本当の原因は分からないことも多いです。よく見かけるのは、乾物量(餌のカサ) が不足している時に最も増えると思っています。その時は、乾物量を増やしてあげれば解決します。ただし、お母さん牛の太り具合が変化しないように、配合の量や、粗飼料の質(栄養価)などで調節しましょうね。

 また、原因がはっきりしないケースでもなんらかの対応をしなければなりません。そのような場合、僕はモラフィット(ゼノアックの固形の糖蜜の塊みたいなもの。よく似たモラリックスというものもあるので区別してください。)かモラフィットSP(個別に与えやすいようにソフトペレットになっている商品)を与えてみることをお勧めしています。モラフィットSPの場合、子牛のちびちゃんで50g、出荷前なら250g/日で与えてみてください。たくさんやっても害はありません。ひとつ覚えておいていただきたいのは、「ストレスがかかる前から投与する方が効果的」ということです。出荷前や移動、新しい育成群を作る場合などは、その前日からの給与の方が効果は絶大です。
 
 
 
 
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