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戸田克樹のコラム
第179話「子牛の下痢が悩ましい!⑨~発情とミルク~」

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2018年4月4日

子牛の下痢で往診に行くときには、農場で
「そういえば、母牛が発情しとったな~」
というセリフをたびたび耳にします。
獣医師の方から、「母牛、発情来てませんでした?」と確認をとることもあります。

なぜ、子牛の下痢なのに母牛の発情が関係してくるのでしょう。
大切なのは、普通の子牛は下痢をしないという大前提です。
下痢になるのは「口から入ってきた何か」が原因ですよね。病原体以外で子牛が口にするものといえばミルク!
ということは、ミルクそのものが子牛の下痢と大きく関連しているのでは?ということになってきます。

発情を迎えた母牛では、「エストロジェン」というホルモンが通常より多く血中に分泌されます。よく耳にするホルモンのひとつですね。

このホルモンには毛細血管を広げる作用があるため、乳汁中により多くのカルシウムイオンが分泌されるなど、乳汁中のイオンバランスが崩れてしまいます。
さらに、白血球などの漏出も起こりやすくなりますし、乳汁中のpH(ペーハー)が上昇したりします。

簡単にいうと、
いろいろなものが乳に混じるため発情期間のたった1~2日でミルクの品質が大きく変化してしまう
ということです。

給料日前で質素な食事を連日とっていた戸田が、給料日にどーん!といいお肉を食べて数日に渡ってお腹が壊れるのと似たようなケース、だということです。

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