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松本大策のコラム
冬場の繁殖牛のご飯 その2

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2018年3月5日

冬場の繁殖牛のご飯 その1」の続きです。

 他にも、普通の気温だと餌のタンパク質とカロリ−のバランスがうまくとれている飼料設計でも、気温が低いとカロリーが体温維持に動員されてしまうので、結果的にカロリー不足でタンパク質を身につける分のカロリーが足りず、タンパク質が余ってしまい、その分のタンパク質が老廃物のアンモニアとして処理されるので、卵胞液中のアンモニア(正確にはアンモニアの代謝産物の尿素窒素:どちらも猛毒です)が増えて、卵胞内で卵が死滅してしまうとか、子宮内のphを弱アルカリ性に保つ酵素をアンモニアが邪魔して、子宮内が酸性に傾くので受胎成績が下がる、等の弊害も出ます。子宮内は弱アルカリ性でないと精子の生存率が低下して受胎しにくくなるのです。

 ですから、寒さがきつい時期は、カロリーを補ってあげるのがセオリーです。飼料原料でいうと、カロリーは高く、タンパク質含有量は少ないトウモロコシがよいと思います。大麦や小麦ではタンパク質も多く含むからです。

 同じトウモロコシでも、加工形態で第一胃内での発酵速度が異なります。最近は3元交雑の牛さんが多いので、ルーメンアシドーシスの危険を避ける意味でも、乾熱圧片(中部飼料のα7など)か、湿熱でしたら中厚圧片から厚圧片のものがよいと思います。添加量ですが、牛さんによっても、周囲の気温によっても異なりますから、とりあえず500g位を与えて見て、牛さんが太るようなら減らして、毛並みの悪さが改善しないようなら増やして、と調整してあげるのがよいと思います。このあたりは飼料設計ソフトでは判断出来ませんから、牛さんと相談するのがもっとも確かですからね。

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