(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第507話:獣医師の人数雑感 その6

コラム一覧に戻る

2018年2月15日

 南国鹿児島にも先日結構雪が積もりました。朝5時から雪の中農場に向かってお産。鹿児島だと「ひえ~~、雪が積もっている~~」となりながら往診しますが、雪国の方々は毎年雪の中で牛さんを飼っていたり、往診を回っていたりするわけで、それだけですごいと思ってしまいます。

 小生は色々な牧場に往診にいったり、コンサルに行ったりしています。そしてつくづく思うことは、かなりの牧場で、人員が足りていないということです。実は産業動物臨床獣医師の人数も少なくなってきていますが、牧場の従業員さんの人数の問題も深刻です。海外の方たちの力を借りているところもあります。日本の生産年齢人口が減少していく中で、第一次産業に従事する人の人数は間違いなく減少してきていると思います。実は第一次産業だけでなく、コンビニエンス・ストアや居酒屋などの第三次産業でも人員が足りていないところがたくさんあります。出張で都会にいくと、店員さんが外国の方のお店が結構あります。

 お医者さんの世界でも、人員が足りないところがたくさんあります。そのために、多くのお医者さんがとてつもない長時間労働で疲弊しています。過労死の問題もあります。このことから、今年になって厚生労働省が「医師の労働管理徹底」のために、負担軽減へ緊急対策案を出しています。医師は原則的に医師法が規定する「応召義務」というものがあります。そのために、診察・治療のもとめを基本的に拒むことができません。医師不足や過酷な労働環境や社会的使命など複雑に絡み合い、本当に労務管理が難しいと思います。獣医さんの世界も同じです。いや、医療現場以外のたくさんの業種でも同じような問題は沢山おきていると思います。介護の世界なども凄まじく大変だと思います。小生はずっと「24時間戦えますか?」の気持ちでやってきました。しかし、もうこのような価値観は通用しない時代のように思います。電通の問題があってから、最近多くのニュースでこの働き方というものが取り上げられているように感じます。24時間営業をやめたファミリーレストランもあります。本当にこれらの問題は難しく簡単にはいきません。

 しかし、一部の牧場では本当に素晴らしい労務管理をされているところもあります。しっかりと休みなどを確保し、適正な人員を配置します。人件費がかかるかもしれませんが、その分従業員教育を徹底して行い、設備投資など上手に利用し、生産性を向上させているところもあります。人員が少なかったり、長時間労働が常態化したりしている場合は、いかにしてその問題を改善していくか。とにかく知恵を絞り出し、IT技術や設備投資などとにかく考えるだけ考えて生産性を向上させていかなくてはいけません。酒飲みながら文章を書いているので、なんだか変な感じになってしまいました。現在産業動物獣医師として長い間働いてきている小生は、これから新しくこの世界に入ってくる新人の獣医さんや農家さん達に対して少しでも良い世界をバトンタッチしていく義務があるように感じています。本当に牧場スタッフや新人獣医さんの中には非常に優秀な素晴らしい方々がたくさんいます。本当にすごいです。そんな人たちが少しでも良くなりますように!!

 あ~~~酒飲み過ぎた~~~。

|