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戸田克樹のコラム
第169話「子牛の下痢が悩ましい!②~子牛はなぜすぐにぐったりしてしまうのか~」

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2018年1月17日

「昨日まで元気だった子牛がぐったりしている!」 今日も急患コールが止まりません(泣)
よくよくみると床には水下痢ビシャー!あたり一面に水様性の下痢便が排泄されています。
急いで農場に到着しましたが、すでに子牛はぐったりしてほとんど動かず、目はくぼんでいて脱水も進行しています。すぐに点滴をしなければいけない事態となりました。

というのは子牛の下痢の場合、よくあるパターンです。
では、前日の夕方まで元気であった子牛が、下痢を呈して一晩でなぜここまで水分を失ってしまうのでしょうか

筋肉=貯水タンク

実は筋肉には水分を保持してくれるはたらきもあるんです。筋組織中の70%程度は水分であるとも言われています。驚きです!
赤ちゃんの場合は細胞の水分保持力が強いので(うらやましい…)、肌があんなに潤っていますが、大人になると今度は筋肉量が増えるのでそこで水分を保持して体を乾燥から守るようになります。女性が男性より乾燥に敏感なのも、筋肉量(水分保持量)がより少ないからなのです。

下痢になると消化管粘膜の表面がブヨブヨになり(炎症による浮腫が起きた状態)、水分をキープする力は大きく損なわれます。さらに、大人に比べて筋肉の絶対量が少ないこどもの時期は出て行った分を補えるだけの貯水タンク(筋肉中の水分)量もほとんどないことから、あっという間に脱水が進行してしまうのです。その結果、たった一晩で重度脱水、ぐったり沈鬱…(‘◇’)!という状態に陥りやすいというわけです。

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