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笹崎直哉のコラム
いざ直腸検査トレーニング その1

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2018年1月16日

 皆様お疲れ様です。今回のコラムの話題は「直腸検査」についてです。今更こんなこと書くのか!とお怒りの方もいらっしゃると思いますが、どうか目をつぶって下さいませ(以下直検と省略させて頂きます)。

 さて私がまだ研修期間のときに社長によく「直検はエコーを使うよりも沢山の隠された情報が得られるから、エコーなんかに頼らずしっかりと訓練するんだぞ~油断するな~」とよく言い聞かされていました。直検は妊娠鑑定や繁殖障害といった産科絡みの牛さんの病気の診断で行うイメージが強いですが、それ以外にもいろいろな組織の感触、サイズ、運動性また直検手袋に付着した便の性状を知ることで牛さんの様々な症状を把握することができます。つまり診断がつかないな~と思っていても直検で明らかになることが意外とあるのです。
それでは細かく考えていきましょう!まずはこのテーマから、、

===糞便の色調について===
 牛さんがいつものうんちをしてくれれば、直検せずとも状態の把握ができるのですが、牛さんの食欲が無かったり、脱水していたりしていて、肛門周囲を刺激してもなかなか便を出してくれないときなんかは直腸検査にて確認することができます(時点での便の状態を知れるのは良いですよね)。直検手袋にもいろいろなものがありますが、私はなるべく病畜の診察には無着色の透明な手袋を用います。根拠は糞便の色調を確認しやすいためです。

 鮮やかな赤で染まった便の時はやはり出血性腸炎(いわゆる血便)を疑いますが、その赤みが暗ければ暗いほど重度な血便であることが多いです。そして、ほぼ黒色に近い便はやっかいです泣。メレナ(タール便)といって胃や十二指腸といった上部消化管器の出血があった場合に肛門からそのような便が出ます。血液に含まれるヘモグロビンが消化液に暴露されることで破壊されるたね色調が黒に変化すると言われています。胃潰瘍や糜爛など恐ろしいことになっていることがありますので、要注意です泣。

つづく

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