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戸田克樹のコラム
第163話「身近な解熱鎮痛剤⑨」

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2017年11月29日

宮崎で生まれ育ち、受験に失敗して福岡で辛酸をなめ、念願の大学生活を鹿児島で過ごしてきた戸田は、九州から一度も出たことのない獣医師です。そのため、この冬はすでに寒さにまいっています!でも安心してください。毎年のことです!!
 
 
前回ちょろっとでてきた「ピリン系」の解熱剤について今回は触れていきます。
こちらはデキサと比べると非常にまろやかな解熱作用をしめします。
人間の世界でも用いられることがありますが、代表的なのはスルピリンでしょうか。

デキサが炎症反応のもとになるアラキドン酸の生成を停止させるのに対し、スルピリンは「放熱促進による解熱」作用をもっています。
作用ポイントは脳です。具体的には間脳にある視床下部。ここは体温調節の司令塔です。

薬剤の作用で、「熱を下げるよ~」という指令が出されます。結果、皮膚にある細かい血管が次々と広がっていき熱が逃げやすくなるという仕組みです。血管って広がることで熱を逃がす手助けをしてくれるんですね。あとは発汗も促してくれます。人間ほどではないですが、牛も汗はかくんですね~。

この薬剤の欠点は炎症のもとを消す作用はないことです。
炎症の原因が取り除かれていなければ、熱はそこから発生し続けてしまうわけです。

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