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松本大策のコラム
質問箱から(その4)~肥育牛導入時のビタミン投与について~

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2017年11月13日

◎ご質問・ご相談コーナーへご投稿をいただいた質問と回答の内容をご紹介いたします。

ご相談内容

 お忙しいところすみません。肥育牛(約9カ月齢)を導入したときにビタミン剤を投与しますが、経口でビタミンAD3E剤を飲ませたときどのくらいの割合で血中ビタミンA濃度が上がるでしょうか(例えば、経口用ビタミンAD3E剤を40ml飲ませると血中ビタミンA濃度がどのくらい上がるでしょうか)。また導入した子牛の血中ビタミンA濃度を100IU/dlくらいにまで上げるためには、どのくらい経口用ビタミンAD3E剤を飲ませればよいでしょうか。

回答

 ビタミンAの動態というのはかなり複雑なため、一概にお答えすることが出来ません。

 まず「導入した子牛の血中ビタミンA濃度を100IU/dlくらいにまで上げるためには、どのくらい経口用ビタミンAD3E剤を飲ませればよいでしょうか。」というご質問に対しては、その個体が現在どのくらいの血中ビタミンA濃度があるか、使用する粗飼料のβカロテン、ビタミンAの濃度、硝酸態窒素の濃度、牛群の頭数(ストレス)、などで変化します。

 「経口でビタミンAD3E剤を飲ませたときどのくらいの割合で血中ビタミンA濃度が上がるでしょうか。」というご質問の場合、こちらも前述の要因で変化します。

 もし十分な量のビタミンAを経口投与した場合、血中濃度は1回投与では通常140IU/dl程度まで上昇します。頻回投与では、さらに上昇し続ける場合が多いのですが、通常1回投与ではこのレベルで、これ以上上昇する個体では逆に肝機能などを調べるようにしています。

 ただし、1回で大量の経口投与をした場合、そのビタミンAのうち2/3は1週間程度で尿排泄されるという報告もあります。持続的に血中濃度を維持したい場合は、皮下注射もしくは、持続低容量添加が好ましいと思われます。

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