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笹崎直哉のコラム
アンモニアガスやホコリによる肺炎 その3

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2017年11月7日

 皆様お疲れ様です。当院では朝一番の日課としてミーティングをしています。内容としては「昨日治療した牛さんすべての治療報告」です。口頭で説明するのが大半ですが、画像や動画を用いることもあります。松本社長も時間があればミーティングに参加し、私たちの意見交換に参加します。時には話が盛り上がってしまう日があったり、みんなで悩み、アイデアを出しあったり、etc…とても有意義な時間であるとつくづく感じます。

毎日スタッフで顔を見合わせてコミュニケーションをとる…とても大事なことですね。
 
 
ではコラムの続きに入ります。

 前回は牛さんの気管の粘膜に備わった綿毛が、不要な分泌物や異物を喉の方に押し出すことをお話ししました。次は気管独自の働きで補うことができない程度にまで炎症が進んでいった場合を考えていきましょう。もともと牛さんは他の家畜と比べて肺における酸素と二酸化炭素の交換能力(ガス交換能)が高いのですが、残念なことが1点。「気管の中を通過する空気のスピードが速いこと」です。そのため、有害なガスやホコリを大量に摂取してしまった場合、肺の深いとこまで侵入してしまいます。その結果、肺に炎症が起こるのですが、まだ炎症が起こっていない健康な部分がガス交換を今まで以上に頑張りすぎてしまうのです。

 実際にそのような状態の牛さんを診察する前に、少し走らせる、歩かせる、等の運動負荷をかけると、明らかに呼吸数がグンと上がったり、呼吸様式がきつそうになったりします。

 こんなときはもちろん獣医さんを呼んで薬の投与をしてもらうのも重要ですが、運動制限といって、広い部屋から狭い部屋に移動させて、肺の機能を休ませてあげることも大切です。

つづく

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