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笹崎直哉のコラム
アンモニアガスやホコリによる肺炎 その2

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2017年10月31日

 皆様お疲れ様です。突然ですが、最近体力の無さを痛感しています。先日除角専用ワイヤーを用いて、1頭だけ除角をさせてもらいました。しっかりと牛さんを保定し20秒~30秒で終わったのですが、この秋という肌寒い季節に発汗し、疲れて座り込んでしまいました。

牛さんはというと、おばあちゃん牛でストレスを与えて辛い思いをしているのに、こっちはこっちで25歳男子が膝ついてバテているというとてもシュールな光景だったと思います。ああ、情けない。本当に牛さんの獣医師としてこれからやっていけるか一瞬どよめきましたが、気合で頑張ろうと決意した笹崎でした。

(すみません、このまま前回の続きに入ります)

 このような場合、実際に牛さんを捕まえて聴診を行ってみると肺へ空気を送り込む通り道となる、気管に「グルグル」という雑音が呼吸に伴って聞こえることが多いです。

その音の正体は気管や気管支の粘膜からでる分泌物となります。ではこの分泌物そのものについて詳しく考えていきましょう。

おおよそ2通りの分泌物が考えられ、1つ目は炎症(アンモニアガスなどによるもの)によって体内で産生する様々な細胞を含んだ滲出液。一方で外から入り込んだばい菌、塵埃(じんあい)、ノコクズetc…などの異物と口腔内の唾液が混じったものが2つ目として考えられます。

健常な牛さんはこのような分泌物全般に対して、気管の粘膜に備わっている線毛細胞がもつ独自の線毛で(タワシをイメージして頂ければわかりやすいかもしれません、、、)肺から喉元に向かって波打つような運動をはじめます。このおかげで、不必要な分泌物は喉を介し、今度は食道へのトンネルに導かれるのです。

よって今回登場した線毛さんはお掃除のプロフェッショナルということです。素晴らしいですね。

つづく

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