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笹崎直哉のコラム
繁殖母牛の栄養管理について ~オシッコに血液~

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2017年9月19日

 最近は気候が涼しいですね。涼しいというのは本当に幸せですね。「はぁ~。毎日暑くなければ、天国のように幸せな気持ちで診療できるのに~」と相変わらず甘えたことばかりを考えている根性も体力もない大馬鹿者の笹崎です。そんな中、時折こんな電話がかかってくることがあります。
“先生、雌牛が血の混じった尿をしてますがね!みにきてくれん(>_<)?!”
“え~じゃっとや~。よかど!今からいきますが(^^)!!”
という流れで往診がスタート。ごくまれに雌の牛さんで、膀胱炎といった疾病ではなく生理的な要因で尿に血が混じってしまうことがあります。
その要因となるのが「発情後出血」です。
 
 まず発情のときの子宮はどのように変化していくでしょうか?発情の際には「エストロジェン」というホルモンの作用により子宮内部の粘膜が充血したり、浮腫んだりする上に、子宮の運動を担う子宮平滑筋が働くので、グッと硬いコイルのように子宮が縮まりますね。

 では発情後はどうでしょうか?発情後は上記しました子宮の浮腫みや運動性は弱まっていきます。そして正確にいうと24~48時間後に子宮内部を走っている血管が破れ、所々に出血が発生します。これが発情後2~3日頃に見られる発情後出血の原因となるのです。
 
 私は「ちゃんと発情の過程を終えた」という牛さんの外見上のサインの1つとしてこの発情後出血が大きく関わっているのではないかと考えています。普段の発情のとき、お産後の初回発情、排卵のときにはその後の牛さんの外陰部の様子を確認してみてください。良い発情が来ている牛さんはしっかりと発情後出血も見られますし、その時の受胎率もやはり高くなっています。もちろん栄養管理の指標の一つとして今回の発情後出血に着目して考えていってもよいのではないかと思います。是非とも検討してみてくださいね!(^^)!。
 
つづく

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